【クリエイティブ】イラストを発注するときに気を付けるべき10のこと

2021年2月16日

マンガ家・イラストレーターをしつつ、広告代理店でディレクターとして働いているかみじょーひろです。
この前Twitterでキレ散らかしたら中途半端にバズってしまったので反省とともに(?)メモを置いておきます。
これからイラストやクリエイティブの依頼をする人にぜひお読みいただければと思います。

ちなみにキレ散らかしたツイートはこちら

納品後に発注書が来て、それに後出しで条件が書かれていたというやつです。
今回の件とは別件ですが、最初の見積り金額と違う金額で納品後に発注書が来たとかそういうのもありましたね。よくあってたまるかって感じですが、わりとよくあることです。リプライでもありましたが、他業種の人にドン引きされました。

お金を払う以上、発注側がどうしても立場的に上になってしまうので、受注側は「あれ?おかしいな?」と思っていても、なかなか言いだせなかったりモヤモヤを抱えてししまい、気持ちよくお仕事ができなくなってしまうことがあります。ぜひ依頼する側の人は気を付けていただけると嬉しいです。(私は兼業なので、おかしいな?と思ったらすぐ言いますし、今回の会社にも伝えました。私と取引のある会社の方は、エアリプかな?と思って心配する必要はないです・笑。)

私自身、今回のように受注する側になることもありますし、逆に代理店側の人間として発注を行う側になることもあるので、改めて気を付けねば、という思いでして。
そんなわけで、私が思う発注時に必要だと思われることを書いておきます。参考になれば幸いです。

発注書という書類はあってもなくてもいいけど、発注内容は明確に

発注・受注の契約は具体的な書類が無くても成立します。口約束でも契約って成立しちゃいますから。
ただ、依頼側がいくら正しくても、言った言わないの問題や齟齬があって揉めたりもしますし、あまりにも安い金額や条件で発注していると、不当なものだと訴えられたら依頼側が買い叩いたと言われてもしょうがなくなってしまうので、正式な書面でなくても、条件はテキストで残すようにしましょう。
私は口頭や電話でざっと話したとしても、後追いでメールするようにしてます。

発注時に伝えるべきこと

予算

先に予算が決まっていたらお伝えしましょう。
もし予算があまりなく相場より低い時は、この金額しか出せないので、どの程度までやっていただけるでしょうか?という交渉をするのも手です。クリエイター側は、修正回数を1回にしてくれれば、とか、レンポジとして登録してもいいなら描き下ろす、等の条件を出してくれると思います。その金額じゃ無理って言われる場合もありますが。
見積もりをまずお願いしたい場合は、条件を記載の上、見積もりの依頼をしましょう。
また、相見積を並行して取っているなら最初に伝えてあげてください。頑張ってスケジュール開けてくれようと調整や人探し始めてくれるクリエイターも多いですからね。うちですけど。笑。

納期

いつまでに下書き、いつまでにチェックバックといったスケジュールと納期を共有しましょう。あと修正回数も明確に。大体、初校・再校・最終校の3回が一般的かと思います。(修正回数が規定以上増えた場合の1回あたりの修正費用も明示してあると素敵ですね。)
制作の経験がある人はざっくりとガントチャートを作って共有してあげるのも良いと思いますが、請ける側も複数の案件を同時に進めていることが殆どですので、作業に何営業日必要か、いつ頃依頼可能か等スケジュールの確認をしましょう。
土日を営業日として計算する発注者は嫌われます。

納品形態 ・数量

納品時のサイズや形式についてもしっかりお伝えしましょう。
この確認のやり取りも地味に時間がかかるのである程度フォーマット化して伝えることを整理しておくと良いかと思います。
・解像度:webなら72dpi、カラー印刷物なら350dpi、モノクロ印刷物だと600-1200dpiが一般的
・サイズ 印刷物で断ち切り用の塗足しの指定もあるなら合わせて
・カラーモード CMYKなのかRGBなのか。グレースケールなのか。規定があるのか。
・レイヤー分けの指定 
・点数 どれぐらいのボリューム感なのか。

TAC値や線数に決まりがあるような雑誌・新聞用のデータの依頼であれば入稿規定もつけてあげたほうがいいです。(分厚い入稿規定を丸投げするんじゃなくて必要なところにチェックを入れてお渡ししてください)

また、パーツごとにレイヤー分けたい等、指定ある場合は依頼時に詳細に指定してください。動画案件でよくあるのですが、例えば腕を動かしたときに肘の付け根が途切れないように~とかは言わないと伝わらないです。
あと、手前の人物と背景を分けて、背景もしっかり全部描いてください、とかだと工数がかかるのでその場合はカット数が2点になることもありますね。費用は工数に比例するということをお忘れなく。

使用目的

何のためのクリエイティブなのかを明確にお伝えしましょう。
お伝えする目的以外に使用しないよ、という意味です。
成果物が少女のイラストだったとして、教材なのか、それとも大人向けのいかがわしい本なのかではそもそも受注するかどうか、にも関わりますから。
絵柄にも関わると思うのでターゲットの情報等も私はできるだけ多く伝えるようにしてます。同じ年代の女性でも、だいぶ好みが分かれたりするので雑誌で言うとこの辺…みたいにマップを作ってお伝えすることもあります。このあたりはオリエンに関する内容なので、別の記事で改めて掘り下げていきたいと思います。

使用媒体 ・使用期間

テレビCMで使うのと書籍で使うのとではイラストの金額が変わります。書籍でも本文と表紙でも単価が変わりますので、使用が考えられる媒体をまとめてしっかりと伝えましょう。
書籍に使用するイラストをチラシやPOPで使う、展示会で使うといった場合も事前確認がいります。
あと海外での展開がある場合も。
ずっと使わせてほしい場合も、ちゃんと記載してあげてください。

クライアント

競合案件をやっている場合もありますので、提案段階であっても【どの業界の案件】ぐらいは事前にお伝えしましょう。競合をやっているクリエイターはNGというクライアントもありますし、逆にクリエイター側もクライアントとの関係性を大事にするため、この業界の競合はやらない、と決めている場合もあります。
無駄なやり取りを減らすためにも最初の段階でお伝えしましょう。

著作権周りのことの確認

冒頭に載せたツイートにも書きましたが著作権をまるっと譲渡って、本来できないんですよ。著作者人格権はあくまでクリエイターに帰属しています。譲渡と気軽に書かずに、著作権の中のどの部分をどうしたいのか、伝えるようにしましょう。

実績公開OKかどうか

これは著作者人格権の中の公表権にあたる部分です。
私が描きました!と周りの公表できる権利で、これは譲渡ができません。
どうしてもクライアント側の意向で公表NGな場合もあると思いますので、その場合は、公表権の行使をしないでほしい旨、事前にお願いしましょう。公表NGの場合、そもそも請けないクリエイターもいますし、制作費を上げるクリエイターも多いですからね。公表権はクリエイターの権利であるということをまず理解してください。
たまに守秘義務違反!とか後出ししておいて騒ぐ発注者がいるのでちょっとドン引きしてます。

もちろん提案のタイミングではその辺りまでクライアントと会話できないこともあると思いますので、その辺りは素直にお伝えするのが良いのかなと思います。交渉はしてみますが公開NGかもしれないです、と。

改変しないか

これも同じく著作者人格権の同一性保持権にあたる部分です。
勝手に納品物を変えてはいけません。変更の可能性がある場合は事前に相談しましょう。
クリエイターが追加料金で対応してくれる場合もありますし、こういう場合はそちらでやってくださいと、許可をいただける場合もあるでしょう。勝手に手を加えて変更することはしてはいけません。
私も納品した女の子Aのイラストが知らぬ間に左右反転され色替えされ、女の子Bがつくられていたことがあるのですが、意にそぐわぬ改変そのもので、ちょっと揉めました(笑)

再配布の有無

これは人格権ではなく財産権の中に含まれることで、なおかつだいぶ特殊だと思うのですが、成果物をまとめてCDにして雑誌の付録として売るとか。パッケージやテンプレのフォーマットとして売る、とかそういうことが発生しそうな場合は事前に相談が必要です。

二次使用が発生した時のこと 、買取の場合はその条件

最初に伝えた媒体以外、期間外、他の国で使用する場合の取り決めをざっくりとお伝えしましょう。
二次使用、買取云々は発注段階で答えが出ないことも多くて、配信してみて効果次第で買取は検討、ということも多いので、ふんわり触れとくぐらいになることがほとんどかと思われます。
勝手には使わない、都度相談しますよという意志をちゃんとお伝えすることが大事です。
最初からたくさんの媒体や国で使うことが決まっていて、買い取らせてほしい場合は制作費の2倍~10倍とか追加の費用が必要になると思いますが、しっかりお伝えください。

そんな感じですかね…。
また何か思いついたら追記します。あと認識間違ってるところがあればお知らせください><
何のスペシャリストでもないので…!
次はクリエイター側が受注時に気を付けることをまとめたいと思います。
またね!

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